同じ週に2回も世界的なアーティストの演奏を聴くことになろうとは思ってもいませんでしたが、13日、福島市音楽堂までツィメルマンを聴きに行ってきました。
最初、さすがに高価なチケットなのでスルーしていたのですが、東京で聞いたお友達の感想に興味を引かれて、行くことにしました。
思いがけず、わざわざ東京から聴きに来てくれるお友達もいて、素晴らしい体験になりました。
福島市音楽堂は残響時間3秒というのが自慢で、かのブーニンもレコーディングに使ったホールなのです。そこで一体どんな音楽が聴けるのか期待に胸も(益々?)膨らみます。
6時開場のはずでしたが、調律に時間がかかったのか、なかなか開場になりませんでした。
席は4列目(実質2列目)演奏者の背中しか見えなかったどうしようかと思いましたが、鍵盤を走る手も見える位置。
果たしてお友達絶賛のピアノの音はどんなものなのか・・・・・
Martin Helmchenの時はホールが違いますが、ピアノが鳴っていると思いましたが、それとは全く違う感覚です。
なんだこれ・・・・。
これがピアノの音?
ツィメルマンのピアノは舞台上から音が聞こえるのではないのです。
ホール全体が鳴り、音が上から降ってくる・・・・・・。
絵に描いたら、空中にさらに大きな見えないピアノがあるんじゃないかというイメージが湧きました。
隣に座っていた小学低学年の女の子、1曲目バッハのパルティータ2番が始まったと思ったら寝息が。^^;
フォルテピアノなのになんとなくオルガンの雰囲気を感じたのは彼の造詣の深さなのかも、とは後からパンフを読んで解ったことですが。
続くベートーベンのソナタ32番が始まっても相変わらず寝息は続く。
ベートーベンらしい打撃音で始まったのに、よっぽど心地よかったのでしょう。
席が舞台に近いせいなのか、トリルの打鍵の音が曲の一部であるかのように低く流れていました。
休憩にはいると、調律師さんが出てきてしばし調整。
穏やかに始まったブラームスの最後の盛り上がり方と言ったら筆舌に尽くしがたいです。
ホールが鳴りました。うわん、と鳴って音が降り注いで来ました。
聴衆の息をのむ音まで聞こえたほどです。
うわ、なんだこれ。
最後のシマノフスキに至っては、私は舞台上ではなく宙を見上げて耳をすますばかり。
もしかしたらそこに音が見えるんじゃないか、という具合に。
もう、やられました。
生の迫力はこういうこと。
これはこの会場でなければ体験できませんでした。
こんな音楽もあるんだ・・・・・・。
確実にこのホールの響きを計算した演奏。
鍵盤から手を離しているのに鳴り続ける音。
あ~、タリススコラーズも、こんな良いホールだったらもっと良かっただろうに・・・。
Martinにもここで演奏して欲しいな・・・。
何だか1回だけでは足りない、そんな演奏会でした。
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